コムラのコラム
「張り替えるほどじゃない。でも、このままじゃ見た目が…」—— 築33年のフローリング再生に挑む
2025.05.27

今回は、築33年の素敵なご邸宅にお住まいのH様からのご依頼。
内容は、かなり難易度の高いもの。
「窓辺に植物を置いていたんですが、水やりの影響でフローリングが傷んでしまって…。張り替えるほどではないけれど、このままだと見た目が気になってしまって」
そうご相談いただいたH様の想いに、**“今より少しでも良くしたい”**という気持ちでお応えすることにしました。
気づいた時にはすでに遅く——フローリングに広がるダメージ
H様宅のフローリングは、高級感のある木材に厚みのある透明塗装が施された、美しい仕上がり。
ところが、窓際の一部分だけ、明らかに様子が違います。長年にわたる植物の水やりによって、
✔ フローリングが徐々に水分を吸収
✔ 石材を敷いていたことで乾燥しづらく
✔ 気づいた時には表面が剥がれ、変色
さらに、直射日光による日焼けも重なり、色ムラや塗膜のはがれが広範囲に広がっていました。
「これって…再生できるのか?」というところからの挑戦
写真を見た段階で、正直「これは難しいかも…」というのが第一印象。現地確認でも、窓辺を中心にかなりのダメージがあることが分かりました。それでもH様は、「少しでも見映えがよくなるなら、お願いしたい」とおっしゃってくださいました。そのお気持ちに応えるべく、できる限りの再生プランをご提案。
再生プラン:研磨(サンディング)+色合わせ塗装+クリア仕上げ
施工内容は次の通り:
- 傷んだ部分の塗膜をサンダーで削り、素地を整える(サンディング)
- 既存の床と色味を合わせるための色付け塗装
- クリア塗料を重ね塗りし、艶と厚みを調整
- ただし、変色部分との色合わせが難しい
- 塗膜の厚みの違いにより段差ができる可能性がある
というリスクもあるため、その点もきちんとご説明。H様はそれを理解した上で、「それでもお願いしたい」と正式にご依頼くださいました。
【施工前半】— 高級床材との真っ向勝負。ひたすら研磨!
まずは私の担当である、**サンディング作業(塗膜の研磨)**からスタート。
ところが…
✔ 塗膜が非常に硬く、なかなか削れない・・・(1番粗い番手のサンドペーパーで施工しても中々削れないほどです)
✔ 作業に時間がかかり、振動で全身が筋肉痛に
電動工具で何通りもの方法を試しましたが、結局は地道にゆっくり削る方法が一番確実という結論に。急遽、作業スタッフを1名追加して2名体制に変更。それでも、20㎡の床を整えるのに丸1日半かかりました。ただただ無心で、丁寧に研磨を繰り返す。まさに、職人の“根気勝負”の作業でした。
【施工後半】— 職人技が光る、色付け+クリア塗装
サンディングが完了したあとは、信頼する塗装職人・山本さんにバトンタッチ。
既存床の色に合わせて色付け。その上から透明な保護塗料(クリア)を丁寧に4回塗り重ね。特に、塗りムラを出さずに厚みを合わせるのは非常に高度な作業。山本さんの熟練の技術が、ここで本領発揮となりました。
そして、仕上がりは…施工前と比べると、見違えるように美しい仕上がりに。
もちろん完全に新品のようには戻りませんが、自然な艶と整った色合いに、H様も思わず…「ここまでキレイになるとは思っていませんでした。本当にありがとうございます!」この言葉をいただけて、ようやくすべての工程が完了したような気持ちになりました。
張り替える前に、“再生”という選択肢を
「部分的なダメージが気になるけど、全面張り替えるほどではない…」「愛着のある家を、できるだけ元のまま大切にしたい」
そんなお気持ちがある方にこそ、フローリング再生の選択肢を知っていただきたいのです。
現地を拝見してみないと判断できないケースもありますが、必ず「どこまでできるか」の見立ては丁寧にお伝えします。ご希望に沿わない場合は、無理に施工を進めることもありません。まずはお気軽にご相談ください。